花粉も順調に飛んでいる。くしゃみも目や鼻のかゆみにもめげずに外出しちゃったもんね。
気持ちいい気候、春ようこそ!!
今日は、1週間前に見たテレビ番組の話から。
1週間も経っているので、だいぶ記憶が怪しくなっているけれど、見た方いらっしゃったら、おかしいところ指摘してください。
NHK総合「7サミット 極限への挑戦」という番組を見た。
登山家の栗城史多(のぶかず)さんについての番組だった。私はこの人のことをまったく知らなかったけれど、若くして(まだ27歳!)ヒマラヤなど標高8000メートル以上の山に無酸素で(酸素ボンベなどを使わずに)登り続けている人だ。
番組は、エベレストに挑戦する栗城さんについて描いているものだったのだけれど、見ていてとても印象的だったのが「人とのつながり」だった。
栗城さんは、大学中退後一時ニートだったこともある。人と話をするのが苦手だったそうだ。でも、登山を続けるにはスポンサーが必要だ。そこで、自分から各企業のもとへプレゼンをしに行くようになったらしい。
さらにすごいのが、登山中の自分の姿を動画配信していることだ。登るだけでも大変なのに、その姿を自分で撮影しているのである。映像の中では、8000メートル以上の山を登りながら「寒い…」とつぶやいているところ、「もう無理だよ俺…」などと弱音を吐いているところも全て映し出されている。そうして、ついに登頂を果たして倒れこみながら、「正直、登りきれるなんて思いませんでした」と号泣する。
番組では、その画面を涙ぐみながら見る休職中のサラリーマンの姿が映し出される。激務に耐えかねて鬱状態になっていたけれど、栗城さんの姿を見て元気をもらえた、と彼は話していた。
栗城さんのHP内の掲示板には、このような人たちからのメッセージが続々とアップされる。
エベレストの単独・無酸素登頂は、史上一人しか達成していないことらしい。何度も8000メートル以上の山を登って準備を重ねて、いよいよエベレストへの挑戦。しかしやはりエベレストは苛酷で、じっとしているだけでも体内の酸素がなくなって消耗していく。1メートル進むだけでも数分かかるほどに、体力が奪われる。これ以上進めばその日中にはベースキャンプに帰ってこられない限界の場所で、ついに栗城さんは進むことを断念する。生きて帰ることを選んだのだ。
しかし、進むのも大変なら戻ることも困難なのは変わりない。日没の時間が迫る。それでも足は動かない。
そのとき無線で、掲示板にアップされたメッセージが次々に読み上げられた。「生きて帰ってきてください」。
そして、栗城さんは無事にベースキャンプに帰ってきた。
エベレスト登頂は果せなかったが、生きて帰ってきたのだ。
栗城さんは別に、誰かのために山を登り始めたわけではないと思う。でも、実際には一人で登ることはできない(登山自体は一人でも、サポートしてくれる人たち、スポンサーなどが必要だから)。その中で、「最後の一押しをしてくれる人の力」に気付いたのではないか、と想像する。
また、栗城さんが頑張る姿が結果的に他の人々に力を与え、その人たちのメッセージで(だけではないのは分かっているけれど)栗城さんは生きて帰ってきた。
番組を見たときから感動していたのだけれど、今日急に内容が理解できた気がした。
おこがましいけれど、私も同じだ、と思ったから。
スポーツ経験もなく、何でも始めて少したてば人並みにはできるようになる。物事で平均点以下をとったことがほとんどない。そんな私は、何かを死ぬほど一所懸命にやったことがなかった。翻訳と出会わなければ、一生そんな経験をすることはなかったかもしれない。
登山とは違うけれど、翻訳も作業自体は一人で行う。だから、私は勝手に、一所懸命頑張るというのは、どこまでも自分ひとりの世界を追求することだ、と思っていた。そう思って今までもやってきたし、通学になってからもそうなるんだろう、と思っていた。ブログも、自分の文章力を上げたくて始めただけだった。
そうじゃなかった。始めてみて分かったのは、「頑張るのは自分だけど、どこまでも自分なんだけど、最後の一押しをしてくれる人の存在がやっぱり必要なんだ」ということ。「人とのつながり」が、必要なんだということ。
このあたり、上手く伝わるか自信がないけれど、もう少し書いてみます。
やる気がないのに人に引っ張りあげてもらおう、というのとは違う。一人でできることにはかぎりがあるから皆で力をあわせて頑張ろう、というのも、いい線いっているけれど、今しようとしている話とは少しだけ違う。
頑張るのは自分にしかできない。自分自身にないものを他人に作ってもらうことは、絶対にできない。でも、どこまでも自分を追い込んで追い込んで、でもあと一歩だけ、というときに、誰かが押してくれる一歩分は、本当に力になると思うのだ。
思うように勉強の時間がとれなくて弱音を吐きたくなるのをこらえて「頑張る!」というブログを書いたあとの、皆さんの励ましのコメント。うまく訳せず苛々して、それでもできるかぎりのものを提出したあとの土曜日、先生からいただけるアドバイスと、ランチ会でいただけるパワー。一番近くでかんしゃく持ちの私を上手くサポートしてくれる、身近な人たち。
この半年、どれだけ周りの人に助けられたことか。
なのに、その周りの人たちが「私から元気をもらえる」と言ってくれるのだ。
こんなこと初めてで、どうやって感謝の気持ちを伝えたらいいのか分からない。
今まで「一人でもできる」なんてうそぶくことができたのは、そんなに物事を頑張っていなかったからだってようやく気付いた。
とはいえ、まだまだ私の頑張りは足らない。本当に足らないと思う。
自分に言い訳せずに、自分に嘘をつかずに、とにかく真摯に向かい合う。誰かと比べるのではなく、とにかく自分が頑張れているといつでも言えるように、これからはもっと頑張ります。
皆様、よろしければ、これからもこんなくまぼぼをサポートしてください…。